みちぱん書評録

しがない書店員・みちぱんによる超絶個人的見解の書評記録

泉光「圕の大魔術師1」

圕の大魔術師1

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著:泉光 版元:講談社

 アムンという小さな村に暮らす耳長の少年は本が大好きであったが、耳長で貧乏だった為、村の図書館を使うことができなかった。そんな少年は差別が存在しない本の都・アフツァックに行くことを夢見る。ある日、少年は憧れのアフツァックの図書館で働く司書(カフナ)と出会う。この司書との出会いが、少年の運命を大きく変えることに──。孤独な少年が未来を切り拓く、異世界ビブリオファンタジー堂々開幕!! 

(「Amazon」内容紹介より)

 

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みちぱん

今回はこちら。
泉光さんの「圕の大魔術師」です。

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ブンちゃん

最初の一文字はなんて読むの?

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みちぱん

「としょかん」ですよ。
「くにがまえ」に「書」で「としょかん」。
これは「国字」と言って、中国ではなく
日本で作られた漢字ですね。

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ブンちゃん

ふーん、なるほど。これも本の本か。

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みちぱん

これ、すごいんですよ。
2018年1番推したい漫画です!

 

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みちぱん

ここから第1話が試し読みできます。 

www.moae.jp

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ブンちゃん

書が権力の象徴、それから少し時代が流れ
活版印刷が盛んになり本が庶民にも
普及し始めた時代の話か…。

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みちぱん

私たちの時代でも、実際にこういった
流れを経て本が普及したんですよね。
では、私がなぜこの漫画にここまで
熱くなっているのか、5つのポイントを挙げて
紹介していきたいと思います!

1.最初の一文

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みちぱん

これが暴力的なまでにすごいのですよ。

 

「この物語を 私の英雄のために」

 

(「圕の大魔術師」より)

 

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ブンちゃん

…そう?

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みちぱん

そうですよ!
これ、原作とされているものがあって
原題が「風のカフナ」っていうのですが
そこからの引用文として
のっけられているのですよね。

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ブンちゃん

あ、これコミカライズだったの?

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みちぱん

うーん…たぶん?

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ブンちゃん

なにそれどういうこと?
なんで曖昧なの?

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みちぱん

まぁそれは追々話すとしてまして…。
私の英雄のために、ですよ?
憧れている人、もしくは恩人がいて、
その人の、もしくはその人のための
物語を「私」は創ったんですよ?
こう、胸にくるものがありませんか?

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ブンちゃん

分からなくもないが…そこまで?

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みちぱん

そこまで。(真顔)

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ブンちゃん

アッ、ハイ。

 

2.大胆な構図と繊細で緻密な作画

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ブンちゃん

表紙からも分かるけど、
確かにキレイな絵を描く漫画家さんだね。

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みちぱん

まず、泉さんの圧倒的な画力が
この漫画の土台にありますね。
それに加えて、構図の取り方が大胆なんですよ。

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ブンちゃん

コマ割り、っていうんだっけ?
大事だっていうよね。

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みちぱん

読み切りでも連載でも、与えられるページ数は
すでに決まっているので、なんとしても
そこに収まらなければいけない。
その中でこの漫画は、2P使った見開きが
結構多いと思うんですよね。

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ブンちゃん

そういうシーン、何個かあったけど、
全然ページの無駄遣いとかそういうのじゃなくて、
物語に引っ張られるような感じがした。

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みちぱん

そうそう。
本にぐいぐい引っ張られる感じ。
主人公のシオが本を読むシーンは、
セリフもなにもないのに、彼の目が輝いて
文字が走って踊って、本に吸い込まれる。
静止画なんですけど、映画のワンシーンを見ているような、
そんな気分になりますよね。

3.中央圕の司書(カフナ)、セドナの存在

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みちぱん

本の都と言われるアフツァック、
そこにある中央圕にはカフナと呼ばれる
司書たちがいるのですが、セドナはそのひとり。
通称「風のカフナ」と呼ばれる期待の新人ですね。

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ブンちゃん

風の魔術を使うんだっけ。
美人なんだけど、なぁ…。

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みちぱん

クサいセリフをドヤ顔で言うイタイ系女子ですね(笑)
「あの子変わってるよね」とヒソヒソ言われちゃうやつです。

 

「物語の主人公はいつだって他の人とは違う。それってすごく特別でかっこいいことだと思うけど?」

 

(「圕の大魔術師」より)

 

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みちぱん

自分が異種族であり、他人と違う見た目を気にする
シオに言った一言ですね。ドヤァという顔で。
分かっているじゃないですかセドナさん!

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ブンちゃん

夢見がちで天然なところとか、
君とセドナってちょっと似てるね。
セドナは美人だし仕事できるけどね。

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みちぱん

そんな現実突き付けなくても…。
とにかく、セドナというキャラクターが
この漫画をより良くしているんですよ!

4.主人公・シオの謎

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ブンちゃん

シオっていわゆる「エルフ」なんじゃないかな。
この世界全体で見れば多種族が存在していて
人間以外の種族も珍しくはないと思うんだけど、
いかんせん田舎の村だから、迫害されてるんだよね。
子供は見た目の違いとかに特に過敏だし。

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みちぱん

人間と他種族のハーフみたいですけどね。
彼の出生はまだ謎ですが…おそらく、
「主人公」たる特別な力を持っているのではないか
と私は思っているのですよ。

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ブンちゃん

その兆候はあるよね。
人間に懐かないと言われている
聖獣と友達だったり、たまに光る
額の傷とかさ。某魔法映画みたいな。

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みちぱん

この世界には魔術たるものが存在しているのですが、
生き物や自然、言葉など万物に司(マナ)が
宿っていて、そのマナと対話し使用できるものを
魔術師と呼んでいるみたいなんです。
セドナは空気を操ることができる。
で、肝心のシオなんですけれど、
彼も魔術師の素質があるんじゃないかと。

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ブンちゃん

ちなみに何の?

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みちぱん

大事な本をいじめっ子たちが
触ろうとしてきたときに、
シオが「さわるな!」と思い切り
叫んだんですけど、そのとき額の傷が
光っていたんですよね。
大音量だったのか、その叫びを聞いた子供たちは
その場にへたりこんでしまったんですよ。
だから、シオは「言葉」を操ることが
出来るんじゃないかなーって。

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ブンちゃん

なるほど…。
まだ推測の域を出ないが、
もしそうだったら熱いな。

5.存在しない原作

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ブンちゃん

そういえばさっき、コミカライズに
曖昧な返事してたけど、
原作存在しないのか?

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みちぱん

実はそうなんですよ!
原作厨である私は、原作の文字を目にしたとき
さっそく検索かけたんですけど
「風のカフナ」という本も
ソフィ=シュイムという作者も存在しない!
翻訳者の濱田泰斗という方も…。
これに関してはいくつか考察が出ております。

 

本を愛する全ての人にこの物語を贈る『図書館の大魔術師』 - よみコミ!

原作をせっせと調べていたので、創作の創作かも、という考察を見て助かりました。そういうことかもしれませんね。

2018/04/12 12:42

 

www.allnightnippon.com

 

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ブンちゃん

創作の創作である
可能性もあるってことか…。

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みちぱん

もっと壮大な謎が隠されている
可能性もありますよね!
実際のところ泉さんの頭の中を覗かないことには
分かりませんが…。
何かしらの意図があってこういう形をとっている
ということは間違いなさそうです!

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ブンちゃん

俄然気になってきた。

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みちぱん

この1巻は丸々プロローグみたいなもので、
巻末でいきなり7年後になり、
シオが13歳になってカフナの試験を
受けにいくところで終わってます。

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ブンちゃん

7年後では、村人がシオに対する態度も変わっていたね。
たぶんセドナに「主人公は君だ!」って
言われてからシオは変わったんだと思う。
セドナはシオと出会ったことを「運命」と
言っていたけれど、本当にそうだったのかもね。

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みちぱん

2巻が待ち遠しいですね、ブンちゃん!
お店でもしつこく展開したいと思っています。
ひとりでも多くの人に、
この物語が届きますように。